サンデイへの手紙

サンデイへの手紙#6「最後の手紙」

Wednesday, 25 August 2010 | Posted by: ユタカ
ハローサンデイ。 

ずいぶん暑い日がつづいていると聞いたけど、元気に過ごしていますか。 
全身毛だらけの君のことだから、今年の夏もたいへんだろうね。 
もし、今君のそばにいたら、君の好きなアイスクリームを
たっぷりと食べさせてあげるのだけど。 

さて、ずいぶん久しぶりの便りになってしまったけど、あいかわらず僕は
今日も旅の空の下にいます。 
今日もいろんな人に出会い、こんにちはとさようならを交わしたよ。 
いつものように、いろんな匂いをかぎ、いろんな音を聞いた。


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サンデイへの手紙#5「知らないを知ること」

Tuesday, 05 January 2010 | Posted by: ユタカ

ハローサンデイ。

元気に過ごしていますか。
新年を迎えて、美味しいものをたくさん食べた頃じゃないかな。
そういえば、南半球から送った君へのクリスマスプレゼント、
気に入ってくれたみたいでうれしいよ。
たっぷり時間をかけて選んでみたんだ。


ここしばらく僕は、いろんな場所を訪ねて回っていたよ。
高度4500mを越えるような高地へ赴いてもみたし、
はるか昔の人々が作った山道を登ってみたりもした。
隙間がないほど人であふれた市場を練り歩いてみたし、
生き物の気配などない荒涼とした砂漠に佇んでもみた。
馬が静かに草を食べている横で林檎をかじってみたり、
大きな海に沈む真っ赤な夕陽をいつまでも眺めてみた。


その多くが、はじめてみるような景色ばかりだった。
その多くが、いい意味で、僕の想像を超えていたよ。
この惑星について、僕はこれまで知らなさすぎた。
そのことを僕はあらためて、知った。


世界は大きく、想像を超えている。
旅をすればするほど、世界は広くなるんだ。狭くなるんじゃなくてね。
もちろん、それは美しいことばかりじゃない。
だけど、やっぱり知ることは、大きな喜びだ。
大好きな人の新しい一面を発見するように、それはとてもワクワクすること。


いろんな場所で出会った素敵な旅人たちは、いつも知ることを楽しんでいた。
彼らは、世界が自分の想像を超えていることを知っていた。
自分の小ささを知っていた。だから、とても謙虚なんだ。
異国の自然や文化に対して、敬意をもって、ありのまま観察していた。
大きな景色に触れたとき、何時間も黙ってそれを楽しむことができた。
彼らは、世界が自分のルールで動かないことを知っていた。


先週、悲しいテロのニュースを耳にした。
多くの人が亡くなったらしいね。とても悲しいことだ。


世界中の、多くの戦争や紛争やテロが、
自分の論理を正当化するために起こるのだとしたら。
つまり、偏った「小さな世界観」のために起こるのだとしたら。
世界の平和のために、僕らができることは何だろう。
旅に出ることは、そのひとつの手段かもしれない。
世界を知ること。そして自分とは違う文化を理解し、尊重すること。
誰かにそれを伝えること。偏見を少しでも和らげること。
いろんな国の友人を作ること。
そういった小さなことが、とてもだいじなような気がしている。
旅は、暴力から遠いところにいる。


難しい話をしてごめんね。でも、どうしても書いておきたかったんだ。
今年が、君にとっても、世界にとっても平和な一年でありますように。



サンデイへの手紙#4「窓を開ける唄」

Monday, 16 November 2009 | Posted by: ユタカ
ハロー、サンデイ。元気にしていますか。

今、僕は高度2000メートルを越える土地にいる。
夜は冷えるけど、昼間はさわやかでうららかな陽気なので、洗濯物もよく乾くんだ。
前にいた街よりも高度が500メートルほどあがったので、最初の頃は散歩すると
少し息苦しく感じたけど、今はだいぶもう慣れたよ。

この街の人は、とても音楽が好きなんだ。もしかして高度と関係あるのかな。
とにかく音楽が鳴っていると、おじいちゃんも、こどもも自然にからだが動き出すらしい。
日曜日の広場には、ゴキゲンな音楽を待っている人がたくさんいる。楽団がノリノリの
ラブソングを演奏すると、待ってましたとばかりに広場の中央の高台に夫婦やカップルが
のぼって踊り出すんだ。子供たちもまぎれて、ぐるぐるはしゃいでいたりする。
なんだかとても平和な光景だよ。

そういえばこの土地の結婚式は、長い祝辞なんかはいっさいないらしい。
とにかく、最初から最後までずっと音楽が鳴っていて、ずっと踊っているんだって。

踊りは、喜びそのものなんだね。
悲しい時や心配ごとがあるときはうまく踊れないものだから。
この土地の人々は、今、この瞬間を楽しむことがとても上手なのかもしれない。

そういえば、昨日面白い話をきいたんだ。
歌うことも好きなこの土地の男性は、愛しい人に愛を表現するとき、友達をひき連れて
その人の部屋の窓の下で唄をうたうんだって。
唄を送ってもらった女性は、男性の気持ちを受け入れるときは、その窓を開き、
そうでないときは窓を閉じたままらしい。
残念ながら窓が開かれなかった男性は、きっとそのまま友達らとお酒でも飲みに行くんだろうね。
昔からあるこの風習は、今でも若い人の間でちゃんと行われているらしいよ。
うっかり若い女性が多いアパートに住むと、夜な夜な男たちが唄いに来て眠れないんだって。

唄と踊りを通じて、日々、愛と喜びを、恥ずかし気もなく表現する人たち。
でもよく考えたら、それ以上にだいじになことってあまりないかもしれないね。
僕も誰かさんのようにしっぽがついていたら、もう少し、自分のうれしさを素直に
伝えられるのかもしれない。

また手紙を書くよ。
君がたくさん笑える明日でありますように。


サンデイへの手紙#3「『違う』からはじめよう」

Saturday, 31 October 2009 | Posted by: ユタカ
ハローサンデイ。 元気でやっていますか。 
なんだか急に寒くなってきたと聞いたよ。風邪などひいてないかな。

僕が先週いた街もやっぱり寒くて、道行く人はなるべく急ぎ足で歩いていた。 
街のスピードがとても速くて、その流れにうまくのれるか初めは緊張したよ。 
でも、結局は自分のリズムで歩けばいいんだってわかった。 

その街は、いろんな肌の色、いろんなコトバ、いろんな考え方がうずまいている 
とても面白い場所だったんだ。 白人、黒人、ヒスパニック、ユダヤ、アジア、
老人、若者、中年、子供、太った人、 やせた人、男性、女性、ゲイ、キリスト教徒、
仏教徒、イスラム教徒、陽気な人、暗い顔をした人、お金持ち、そうでない人。
なぜか地下鉄ではカボチャのお化けの格好をした親子にも遭ったっけ。 

みんながみんな思い思いの格好をしていて、そのどれもがなんだかとても様になる街
なんだ。ひとりひとりが、物語の主人公のような、そんな風に思わせてくれる何かが
そこにある気がした。 
ひとつの街なのに、お互いがあまりにも違いすぎるから、自分の気持ちを伝えるのにも 
苦労することも多いみたい。でも、それがいつものことだと、相手が何をいいたいのか、 
ふだんからなるべく想像しようとするんだって。その街に住むともだちが教えてくれたよ。
お互いが違う人間だから、というところから生まれる相手へのちょっとした思いやり。 
そういえば、早足で歩いている人に道を尋ねても、みんなとてもていねいに受け応えして 
くれたような気がする。おいしいホットドッグ屋はどこですか、みたいな質問でもね! 

相手と違う、ということは、相手を思いやる気持ちを生む、ことだけじゃなくて、 
相手と違うと感じる自分っていったいなんなんだろう、といつも意識するようになるらしい。 
生まれ育った環境や文化も含めて、自分という人間を落ち着いて考えられるようになる。 
面白いのは、似たような人の中で生活しているとそういうのはなかなか見えにくいっていうこと。
そんなことを、その街に住む友人は熱っぽく語ってくれた。 
もしかしたらその街は、自分の素の姿を鏡にうつしてくれる場所なのかもしれないなと僕は思った。 

でもよく考えれば、どこの街の人だって、そこに集う人はひとりひとりが違うはず。 
家族だってそれぞれ違う個性を持った人の集まりだよね。毎日会っているとどうしても、 
自分と同じように考えてくれるだろうと相手に期待してしまう。そこからちょっとした
いさかいが生まれることもある。
もしかしたら多くの戦争も、自分の「こうして欲しい」に、 相手がうまく応えてくれないから、
という一方的な理由でおこるのかもしれない。 

自分と違う、というところから相手に向かい合うというのは、案外大事なことかもしれないなと感じた。 

その街には、その昔、僕の大好きなミュージシャンが住んでいたんだ。 
その街で、素敵な音楽を作り、奥さんと散歩し、愛を語り、子供を育て、そして亡くなった。 
彼の歌に「想像してごらん」という、うつくしい歌がある。 
彼は、僕らの間には「違い」があるからこそ、いつも想像しつづけることが大切なんだって 
伝えたかったんだと思う。 
その街の中央にある、大きな公園には彼の記念碑があって、今でも驚くほど多くの人が
ひっきりなしに訪れる。 
ストリートミュージシャンが、彼の「想像してごらん」を唄い、みんな肩を寄せあいながら、 
ある人は涙を浮かべながら聞いたりしている。その静かで清らかな時間は、とても印象に残った。 


長くなったね。また手紙を書くよ。 
青い空に浮かぶ大きな雲を眺めながら、君の笑顔を思い浮かべてる。




ハローサンデイ。
昨日は、おいしいアイスクリーム屋さんをみつけたよ。
君がいたら大変なことになっていただろう。
だって君はアイスクリームを食べるために生まれてきたって
いうくらい、いつも美味しそうに食べるから。
きっと店ごとなめつくしたんじゃないかな。

さっき、僕の友達がしてくれた話を思い出していたんだ。
とてものどかな島で育った彼女が、都会に出てきていちばん不思議に
感じたこと。それは、たとえば今向かい合ってしゃべっていた相手が、
平気で電話にでたり、メールを打ったりすることだったんだって。
もちろん、急を要するときは仕方ないけどね。
でも、そんなときはいつだって、少しさみしい気分になったそうだ。
ここにいるのにいないような、そんな存在に自分がなってしまうこと
ほど悲しいことはないって、彼女は言っていた。
僕もそう思う。

旅をすることは、
どこにいくか、空間の移動ばかりに意識がいきがちだけど、実は時間を自由に
使えることに、より素晴らしさがあるんだと思う。
たとえば朝起きて、からだを伸ばしながら、今日は何しようかな、とまっさらな
気分で考えられること。なんだか子供の頃に戻ったみたいな、ふしぎな感覚。

そんな感覚で世界を眺めると、忙しいときには見過ごしてしまっていたものに
あらためて気づけたりする。そして出会う人やものごとは、もう二度と会えないかも
しれないから、そのひとつひとつにちゃんと向き合いたくなってくる。

そう、アイスクリームを食べるときのようにね。
いろいろ考えすぎたり、脇見をしていると、世界はすぐに溶けてしまう。

そういえば、カメラは、ゆっくり世界を眺めるのにいい相棒になるね。
いつもの道が、いつもじゃないことに気づかせてくれる。
だから街をゆっくり歩くときは、なるべくフィルムを入れたカメラを
首からぶら下げて歩くようにしているんだ。
もっとも君は、昔から、カメラがなくても、いつもじゃない変化を
楽しむことができたんだろうけど。

少し寒くなった頃かな。
おなかを出して風邪などひかないように。
また手紙を書くよ。


サンデイへの手紙#1「旅立ち」

Tuesday, 06 October 2009 | Posted by: ユタカ
ハローサンデイ。 
旅立ちは、最初の一歩を踏む勇気が大切だと 
誰かがいっていたような気がした。 
とにかく今はその一歩を踏み出せたことを 
素直によろこびたい。 

正直いって、不安がないわけではないよ。 
君と離れることもさみしいしね。 
でも、そういうふうに思えることは、 
つまり離れがたいものがあることに気づくのは、 
そんなに悪いことではないと思う。 

いつのまにか1年たってて 
今年もあの人と会えなかったななんて 
その年の終わりはじめて気づくような 
そんな生活になってしまっていた。 
ともだちに対しても、自分に対しても 
こんなに失礼なことってないよね。 

これからいろんな新しい出会いを経験するわけだけど、 
これまでしてきた出会いも、同時に噛みしめてみたい。 
たとえば君のような素敵な友だちと出会えたことに 
ゆっくりと感謝したいんだ。 

この先、楽しいことも、 
もちろん辛いこともたくさんあるだろうけど 
こうして旅で出たことは、少しも後悔はしてない。 

僕らの住む地球という星の姿の、君の知らなかった 
ほんの一部分でも、伝えることができたらうれしい。 

また手紙を書くよ。 
君の幸せを祈ってる。


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2009年10月6日から一年ほど
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