ペルー
スレミダちゃんの写真はない。
いや、港でお別れするときに、夫がアナログカメラで写真を撮らせてもらったものが一枚だけあるはずだ。
いくらでも容易にシャッターを切れてしまうデジカメで、彼女を撮ることはできなかった。切った瞬間、彼女を「美しい島で、昔ながらの生活を営む民族衣装を着た女性」という商品に仕立ててしまう気がしたからかもしれない。
最初に彼女と引き合わせてもらったとき、ツアーガイドは彼女のことをあなた達のセカンドマザーですよ、と言った。
スレミダちゃんにしたら、冗談じゃないだろう。
スレミダちゃんは最初から最後まで親切だったけど、最初から最後までずっと苛立っていた。
彼女の目には、お気楽なツーリスト達に対する敵意が見てとれた。
ツーリストは興味本位でツアーを購入する。
ツアーの金額を確認して、安いね、なんて言う。
そんなツーリストを相手に、家族が生活する糧を得るため、自分が立ち向かっている現実の生活を観光商品にしなくてはならなかったスレミダちゃんの苛立ちは相当だった思う。
彼女に年齢を聞こうと思ったとき、スペイン語でなんて言うのか思い出せなかった。
しょうがないので自分の年齢を言ってから、あなたは?という文章を作って尋ねた。
「私は33才です。あなたは?」
スレミダちゃんは「16」とスペイン語で言って、指で10と6を作った。
16才。
自分の半分にも満たない少女を前に、やるせなくてしょうがなかった。
アマンタニ島では、その島の自然の美しさに感動すると同時に、観光という商売について、そして自分たちツーリストという存在の無責任さについて、初めて真剣に考えさせられることになった。
そして、たまたま自分が日本という国に生まれたこと、33才にもなって一年間も旅行に出るという選択が可能であるということ、それがとても特殊であることを改めて認識することができた。
多分、私たちのホストファミリーが、自分より年上のお母さんがどっしりと仕切っている家だったら、こんなに考えなかったと思う。
このことも含めて、スレミダちゃんに感謝している。
スレミダちゃんに別れを告げた後、観光ボートは予定通りタキーレ島に向かった。
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ダンスパーティ。
別に何かお祝いごとがあったわけではない。この一泊二日のツアーに含まれているのだ。
スレミダとエノクに着付けをしてもらった僕らは、少し坂を上って村の公民館のような
場所に連れて行かれた。
そこでは僕らと同じように現地の民族衣装に身を包んだ観光客たちと、同じく民族衣装を
着たファミリアたちが壁際にずらりと座り、正面に音楽を演奏する楽団と、飲み物を売る
売り子が陣取っている。これも、なんだか奇妙なお見合いパーティのようである。
あれよあれよという間にインカスタイルなふたり。
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ウロス島を出て3時間あまりして、アマンタニ島へ到着。
荷物を持って上陸すると、今夜の宿となるファミリア(ホスト)の人たちが出迎えてくれた。
観光客を受け入れるようになってまだ間もないアマンタニにはホテルが一軒も無い。
ということで、ツーリストたちは島の家庭にそれぞれホームステイするのだ。
ファミリアの一群とツーリストの一群が向かい合って、ツアー主催者から誰がどのお宅に
お世話になるか発表される。なんだかお見合いパーティみたいだ。
民族衣装を着て、到着を待っていてくれたファミリアたち。
今宵の僕らのファミリアは、スレミダという、若くてきれいな女の子。
もっとお母さんぽい人が迎えにくると思っていたので意外であった(他の家庭はおばあちゃんの
ような人もいたので)。
あとで歳を尋ねたところ、なんと16歳だった。それにしてはやや大人びている。
笑うとあどけない可愛らしさが見え隠れするが、どこか表情に翳りがある。
それが、彼女に対する第一印象だった。
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チチカカ(Titicaca)湖。
昔、地理で習ったことあった。実に覚えやすいネーミング。
しかも現地の人曰く、「カカ(caca)」の部分は、「ハハ」と発音するらしい。
つまり、それは「父母湖」ってことじゃないか!日本人としては他人事と思えない。
富士山より高い、標高3890m。琵琶湖の12倍の湖。最大水深281m。
うーん、数字ではいまいちピンとこないが、確かなのは「たっぷり」しているということ。
チチカカ湖を思う存分楽しむために、湖に浮かぶ島々を巡ってみた。
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10日間過ごしたクスコを後にして、チチカカ湖畔の町プーノに移動しました。
クスコの標高は3400mでしたが、プーノはさらに登って3855m。
二人とも高山病にはならずにすんでいますが、なにぶん息が切れやすくて困ります。
本当にちょっとしたことで、例えば散歩したり、荷解きをしたり、果ては顔を洗っただけで、呼吸が乱れてしまうことも(情けなくて笑えてきます)。
そんなプーノへは、ずっと3000m以上の高地を駆け抜けてきました。
景色にみとれたり、昼寝をしたりのバス旅。世界は美しいなあ(しみじみ)
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ご飯を食べた後、オリャンタイタンボ(Ollantaytambo)へ移動。
ここもとにかくすごいスケール感です。
この段々畑がまた凄い。一歩を踏み出すのになかなか勇気がいります。
オリャンタンタイボ遺跡からみて正面の山。人の顔をしているところが二カ所有ります。インカ暦の最初の日にそこから
陽が射すんだとか。ホントかよって感じです。
そこに作るかっというところに作っちゃうお茶目なインカ人。
インカ(プレインカ含む)の石組みはいろいろ見たけれど、ここのが一番凄かった。曲線だよ。
オリャンタンタイボの村では、今でもインカ時代の水路や下水道が使われています。
今回ガイドしてくれたマルチンさんはなんと16人兄弟!お母さんは106歳!本人は65歳!若い。
ピサックでも十分なのに、オリャンタンタイボも消化しきれないよーと思ったところで、
ガイドのマルティンさんの故郷、チンチェロ(Chhinchero)を次に目指す。
実はこのオリャンタイタンボ→チンチェロの移動風景こそが、この日最も心動かされたイベント
であった。
とてつもない高地で、畑や酪農をやりながら、素朴に暮らす人々。寄り添ってぼんやりして
いる親子。平和そうにただ草を食む羊や馬たち。なんでもない暮らしの風景なのだが、
なんだかとても胸に沁み入った。
その3へつづく。
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クスコを訪れるツーリストがよくいく観光ツアー、実は3つある。
1.言わずと知れたマチュピチュツアー(大部分は電車)
2.手軽にいけるシティツアー
3.聖なる谷ツアー
1と2についてはすでにご紹介した。
今回は三回に分けて、3の通称「聖なる谷」(Sacred Valley)ツアーについて書きたいと思う。
要は、マチュピチュほどは遠出しないけど、シティツアーよりは遠出するツアーということだ 笑。
圧倒的メジャーなマチュピチュがあるため、いまひとつ地味な印象だけど、そこの遺跡たるや
マチュピチュに負けず劣らず、まー素晴らしいものばかり。
まったくペルーは見所満載過ぎて、ブログ書くのが追いつかない!
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最初にペルーでご飯を食べたのは、リマの空港でのこと。
そのとき、「ああ、ペルーはメキシコよりずっと食が貧しいんだな、、、」と感じました。
しかしながら、ところがです。
クスコはレストランもカフェもかなりレベルが高かった!
おそらく世界有数の観光地であるクスコはペルーの中でも特殊なのだと思います。
メキシコでは、英語メニューなんて無いところがほとんどだったのに、クスコでは下手したら日本語メニューまであるし、店員さんはほぼ100%英語が通じるしで、とってもラクチン!
それで美味しくてリーズナブルで清潔なら、ツーリスト向けで多少面白みにかけようと、全然気にしません!
ここでは、満足度高しでリピート利用したお店をちょっぴり紹介したいと思います。
(といっても、「地球の歩き方」にもバッチリ掲載済!なあんだ、、、と言わずにご容赦ください)
コカ茶。高山病に効くというのと、おしゃれカフェでも50円くらいで飲めちゃうリーズナブルさが手伝って、一日平均5杯くらい飲んでいるような、、、たぶたぷ。
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マチュピチュさん。
実際に足を運んでみて何よりも深く心を動かされたのは、実は遺跡そのものではなく、
それを取り囲む雄大な大自然であった。切り立った山々、熱帯気候の豊かな植物や生き物、
今にも手が届きそうな空、そして次から次へと姿を現す虹。
自分の足でマチュピチュ山まで登ってみて、いかにその場所の自然が神々しく美しいか、
そしていかに険しい場所にあるかが、身をもって感じられた。
その次に、そんな場所にわざわざ石を運んで街を作ってしまった酔狂なインカ人、プレインカ人
に対する敬意を抱くとともに、実際に労働にあたった人々が少し気の毒にも思えた。
山中のインカ道を一歩一歩踏みしめているとき、僕は古代の人々と会話している気分になった。
マチュピチュ遺跡は、確かに「遺跡」であるのだが、雄大な自然に囲まれているこの地は、
まだ何かが大きく「生き」続けている。
リャマたちがあちこちで草を食み、美しく可愛らしい花々があちらこちらで咲き、小鳥たち
が元気にさえずっている。
その圧倒的な「生」のエネルギー。これが、この場所の本質的な魅力なのではないだろうか。
麓のマチュピチュ村で一泊した翌日は、朝4時起き。再び訪れたマチュピチュ遺跡は
時折雨が降りしきる、幻想的な世界だった。その美しさや尊さはどんなに言葉を紡いでも
なかなか伝わらないと思うので、以降、写真のみのサイレントで紹介します。
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前編、ランチ休憩後に到着したこの遺跡。
一瞬マチュピチュかと見間違うほどの素晴らしさでしたが、こちらはウィニャワイナ遺跡というものでした。
入山制限のあるインカ道トレッキング道中にあるので、観光客がほとんどおらず、まさに独占状態!
一歩一歩山道を登ってきたこともあって、この遺跡が目の前に現れたときは、ちょっぴりウルウルしてしまいました。
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マチュピチュさん、マチュピチュさん。
口ずさむだけで、呼びかけるだけで、なんだか楽しくなる語感。
ずっとずっと遠いところにあると思っていたマチュピチュさん。
いつか行ってみたいなーと思っていたマチュピチュさん。
でも一般庶民の私には無理かなーとも思っていたマチュピチュさん。
それがクスコに入ると、街中の旅行会社でマチュピチュツアーが溢れんばかり。
偶然一緒にご飯を食べた日本人のおじちゃんは、「うーん、マチュピチュねー。たいしたことなかった」なんて言うし。
一緒にタクシーを乗り合わせたフランス人のおばさまは、「うーん、マチュピチュはちょっと人が多すぎね」なんておっしゃるし。
ここへ来て少し寂しいくらいに、現実味を帯びてきてしまったマチュピチュさん。
自分の目に、マチュピチュはどう映るんだろう。
期待と不安の入り交じる中、とうとうマチュピチュへ行く日がやってきました。
まずは行き方。
一般的なのは、クスコとマチュピチュを結ぶ列車に乗って麓の村まで行き、そこから遺跡まではバスを使うというものですが、例えば私たちが旅先で会った人の中には、「バイクで行った」とか「線路を歩いて行った」とか「山道を歩いて行った」とかいう強者たちがいました。
そして彼らは一様に「列車で簡単に行ってしまうより、ずっとよかった!」と力説するのでした。
そういうものなんだろうか、、、?
実は、なんちゃってハイカーの私たち(といっても、里山程度しか登ったことがありません)。
ちょっと調べてみると、古代インカの時代に作られたという、その名も「インカ道」という美しいトレッキングコースを歩いてマチュピチュに辿り着くという方法があることが判明。
うん、これにしようかな!
インカ道トレッキングには、3泊4日キャンプをして到達するコースと、マチュピチュの手前の104km地点から6時間ほど歩いてマチュピチュに到達するコースがありますが、ここは無理せず後者を選択。
この「インカ道」は、公認ガイドを付けないと入ることができないので、アウトドア系に強い旅行会社さんのグループツアーに参加することにしました。
ちなみに一緒にトレッキングするのは、USAの20代の若者6人。
三十路東洋人夫婦が、若くて足も長いアメリカ人について行けるのか、ちょっぴり不安を抱えての出発です。
クスコとマチュピチュを結ぶ山岳列車。山と空が近いです。
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昨日は「クスコシティツアー」に参加してみました。
シティといっても街中の施設は一部で、あとは近郊の遺跡へバスでいきます。
ちなみに参加者はカナダ、USA、南アフリカ、ペルー、そして日本の面々。
日本の方は僕ら以外に4人いらっしゃいました。
で、まずはカテドラル(大聖堂)などの歴史的建造物を回ったのですが、
すごーく丁寧に、そしてトイレの隙も与えないくらいびっちりとガイドさんが説明して
くれるので、あまり写真を撮る時間がなく、また自由に歩き回れなかったので、割愛!
(や、とても勉強になりましたよ。特に豪華で凝ってるカテドラルは、必見。)
街中の施設のあと、一路バスは山道をうねうねと登り、サクサイワマンを目指します。
道中、クスコの街が一望できます。
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クスコはかつてインカ帝国の首都だったらしい。
ここをスペイン人が侵略したことで、なんとも不思議な「インカ×エスパニョール」の
ハイブリッドな街並みが出来上がった。石畳と急勾配の入り組んだ作りに、探検欲を
くすぐられる。新しさも整然さもないのだけれど、奇妙な美しさがそこにあった。
街中一面に広がる、同じ色の屋根瓦。
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メキシコからペルーのクスコにひとっ飛びすることにしました。
正しいバックパッカーはもちろん陸で南下するのですが、正しくない私たちは「時間がかかるし治安の悪いところもあるから面倒そうだね、、、」という、相変わらずのへなちょこぶりで、飛行機さまで高速移動することに。
ペルーの玄関口はもちろん首都リマなのですが、特に興味をそそられるものもなかったので(都会だし)、そこから同日トランジットでインカの古都クスコへ向かうことにしました。
私たち、飛行機の同日トランジットには悪い思い出があります。
キューバからメキシコに行くとき、最初の飛行機が遅れて、次の飛行機を乗り過ごしてしまい、疲労困憊の長い一日を過ごしたことがあるのです。
今回はその経験をふまえて、十分な乗り換え時間で旅程を組み、かつ万が一乗り過ごした場合も、少額で後の飛行機に変更できるチケットを確認して購入しました。
まずは、メキシコシティからリマへ、アエロメヒコ航空はバッチリ17:25に定時出発。
前回の悪印象から一転、とってもきれいなメキシコシティ空港のターミナル2!余ったペソで一ヶ月お世話になったメキシコビールに最後の乾杯。
飛行機は定刻より少し早めの、深夜0時にリマの空港に到着しました。
そのあと入国審査も税関もするする終わり、とても順調!
あとは、朝まで空港でやり過ごして、5:45発のクスコ行きの飛行機を待つだけです。
ちょっと眠いですが楽勝のはずです。
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